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わたしの心が消えるとき
第1章 笑わない少女
少女は全身で性の悦びを感じている。
まるで大人の女そのものだ。
いや、それ以上か…

女性にも感度の鈍い者もいる。
この娘の反応は、過剰とも思えるほどだ。
叫ぶような喘ぎ声を上げ、暴れるように悶える。

出会った時は、世の中の全ての事に無関心なそぶりだった。
そのギャップの大きさに、驚かされる。

とりあえず、感度が良いのは、男にとっても嬉しい事である。

隆司の腰の動きにも力が入り、頬の傷痕に沿って汗が流れ落ちる。


30代半ばになる隆司は、5年前、建設現場の仕事で事故に巻き込まれた。
九死に一生を得たが、左の頬、目の下から顎にかけて大きな傷痕が残った。
さらに、右の額に眉毛を二つに分ける傷。
顔全体も微妙に歪んだ。

かつては、多くの女性が好む顔立ちで、それなりに遊んでいた。
しかし、事故以来、男でさえ眉をひそめる面相で、何より自信を失って、女性関係から遠ざかっていた。
最近では、少し自暴自棄になっていた。
生活も荒れていた。

『どうして俺を誘った?この傷、怖くないのか?』
『全然。だってオジサンの眼、優しそうだから』
全く、変な娘だ。
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