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わたしの心が消えるとき
第5章 それぞれの夜
夕暮れを過ぎた薄い闇が、辺りを包んでいた。
風が、少女のショートカットの髪を撫でていく。

「姉ちゃん」
背後から声がした。弟だった。
「貴志…!何でこんな所にいるの?」
「遅いから、迎えに来たんだ」

少女の家は市外で、電車でも20分程かかる。

「そう…。着替えてくるから、ちょっと待ってて」
部室に入ろうとすると、弟がついて来た。
「ちょっと!ここは女子の部室だよ!」
「いいじゃん、誰もいないんだろ?俺、一度見たかったんだ」
「勝手にすれば?何もないよ」

明かりを付けた。
弟は部屋を見回す。
ロッカー、テーブル、パイプ椅子、競技の道具…
姉は
「ほら、もう見たよね?ボク、着替えたいんだけど」
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