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第1章 再会

違う！…違う！…
私は、こんな結婚望んでなかった！
私が好きだったのは…
11年間、心の奥底で、澱のように沈んでいた想いは…

私の心が、時間を遡りはじめました。

山崎の、お父さんとお母さん…
私を施設から救い出してくれた。
あの施設は、地獄だった。
虐められて、毎日泣いていた。
私には、ふたりが神様に思えた。

とても返しきれない程の恩を受けて…
そんな私に できる事は…

ふたりがお金に困っているなら、意に添わない相手と結婚する事も…
我慢して抱かれる事も…
私の心と、亮の心を… 裏切る事も…
そんなのは些細な問題。

それができなければ、私には存在価値がない。
だから平気だ。
何でも耐えられる。
そうして私は、生きてきた。
でも…

かつての恋人を前にして、私は18才の少女に戻っていました。

私が黙っているので、亮は立ち上がり、カップを持ってカウンターの方へ…

私は小さな声で
「違うの…」
「ん？何だって？」
「私…私…幸せなんかじゃない…」
「栞…」
「私…亮が好き…。ずっと一緒にいたかった…。我慢できるなんて、嘘…」
涙が溢れてきます。