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第1章 本編

他の同僚に聞くと、
生理的に受け入れられない、
そう言っていたと聞かされた。

子供じゃあるまいし、
そう思ったが由奈は社長のお気に入りだった。
社内の人気者だった。
たかだか社員数名の会社だが、
狭間の立場は悪くなるばかりだった。

裏で悪口を言っているのはわかる。

胃が痛くなった。
仕事を変えるか、
とも思ったが自分は悪くない、
そういう思いもあった。
それに年齢的に転職はきつい。

我慢するしかなかった。

だが、
最近は由奈も狭間の聞こえるところで悪口を言うようになった。
ますます胃が痛む。

今日4度目になるトイレから机に戻る時だった。
狭間は聞いてしまった。

「あの下剤、よく効くわね」

自分のデスクで由奈が慌てるような動作がはっきりと見えた。
食後に職場で飲んだお茶、
あれか！
狭間がそう思った時、

自分の中でブチッと音がした。
なにかが壊れた音だった。


狭間はその日、
早めに出勤した。
藍原由奈が皆より1時間ほど早めに出勤していることを知っていたからだ。

由奈は仕事熱心だった。
狭間は由奈のそういうところが嫌いではなかった。

最も今やそれも関係ない。

職場のオフィスに行くと、
やはり由奈がいた。

「おはよう」
由奈は意外そうな顔をしたが、
返事を返さなかった。

狭間はまあそんなところだろうなと思いつつ、由奈に近づいていった。