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第8章 サイドストーリー✦香織視点２

　七菱銀行の周りにはどこで聞きつけたのか望遠カメラをもった何人もの記者らしき人たちが脚立を用意していた。私たちは銀行へのお客さんのフリをして建物の中に入った。
　
　警察の調べは銀行の窓口業務が終わる三時過ぎから始まった。寒いほどエアコンが効いた七菱銀行のシステム部には「鑑識」の腕章をつけて指紋を採る人や警察が準備したというノートパソコンを叩く音、大きな声で携帯電話で連絡する声――部屋のあちらこちらで叫ぶ声が響いている。