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メンタリズムな恋…
第8章 先生、帰るから待ってて
今日は教授が運転する。
私は教授の車の助手席に乗り込み自分の気持ちを落ち着かせる。
「お腹、空いたね…。」
のんびりと教授が言う。
もうお昼はとっくに過ぎてる。
朝食すら食べてない私を教授が心配する。
「しっかりと食べない子は学習能力が落ちると僕は教えてるはずだよ。」
ふふふと教授が笑う。
「そうですね。」
私も教授と笑う。
やっと笑える自分が居る。
やはり教授はメンタリストとして凄い人だと改めて尊敬する。
教授が向かったのは高級お肉で有名な焼肉屋さん…。
「久しぶりにガッツリと食べよう。」
教授がニヤリとする。
「いいんですか?」
個人的に学生を特別扱いしてはいけない立場である教授に聞き返す。
「三好君…、今は大和君の助手でしょ?その仕事を労う食事くらいは許されてるよ。」
「そういうものですか?」
「そういうものだよ。」
教授が私の背中を3回ほどポンポンと叩く。
学生を勇気づける時の教授のセレモニー…。
「さあ、しっかりと食べよう。」
焼肉屋では個室に入り教授はニコニコと美味しそうなお肉を注文する。
「三好君もサラダとスープとご飯が要るよね?」
「はい。」
一汁三菜…。
一人暮らしの教授は食事でそれを怠らないのが健康の秘訣だと言う。
久しぶりに学校の話をしながら教授と食事を楽しむ。
「沙莉奈は…、元気ですか?」
「経済学部の三好君のお友達?」
「はい。」
「学部が違うからわからないけど、学生の半数は夏休みに入ったから元気だと思うよ。」
「半数?」
「前期のレポートが終わってない子だけが今は必死になって学校へ来てる。」
「教授も大変ですね。」
「本当だよ。毎日がレポートの採点に負われてる。僕の一番の助手は大和君に取られたから…。」
教授がわざとらしい膨れっ面を私に見せ付ける。