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メンタリズムな恋…
第8章 先生、帰るから待ってて
もし、私が恐怖を理由に先生の助手のバイトから逃げたとしても教授は私を一番の助手として私を守ろうとしてくれる。
「教授…。」
私は逃げたくない。
「ん?」
「18年前の事は教授もご存知なのですね。」
「ああ…。」
穏やかだった教授の顔付きが学生を叱る時のように厳しい表情へと変わる。
食事はほぼ終わってる。
今からが本当の話し合い。
私は教授から必要な情報を聞かなければならない。
「教授の知る全てを教えて下さい。」
教授にとって優秀な生徒として質問する。
真っ直ぐに教授から目を逸らす事なく聞く。
教授はメンタリスト…。
学生の表情を見て真面目な質問かふざけた質問かを必ず見抜いてしまう人だ。
「18年前…、僕が初めて警察に協力依頼を受けた事件だった。」
教授は真っ直ぐに私を見返しながら、何処か懐かしげに目を細める。
「依頼の内容は心理鑑定。精神鑑定とは別の形で3人のプロファイルを依頼された。」
「3人?」
「1人は三好君…、君の鑑定だよ。3歳とはいえ君が何故、事件の事を全く覚えていないのか…。病院の精神科は恐怖による一時的な記憶喪失だろうという診断だった。」
「教授のお考えは違ったのですか?」
「その当時は多分としか言えなかった。今ほど心理学やメンタリストの存在がはっきりとはしてなかった時代だったからね。」
教授は何らかの意図で私の記憶は封印されたものだと感じてた。
しかし、それを証明する事は出来ずに3歳の子の記憶だから恐怖によって消滅したとした病院の判断を正しいとするしかなかった。
「その時の女の子が再び僕の前に現れたのだと知った時は本当に驚いたよ。」
教授が嬉しそうに笑う。
私はなんだか、ちょっと照れ臭い。