この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
メンタリズムな恋…
第8章 先生、帰るから待ってて
私はどの道を選ぶのだろう?
怯えて大人しくお姫様のように優しい王子様に守られるだけの女の子…。
それとも勇ましい魔法少女として魔法の鳥を自力で手に入れて悪と戦う女の子。
どちらを選ぶにしても、もっと情報が必要です。
だって私はメンタリスト…。
情報集めを怠れば落第だと先生が言う。
「すぐに河合教授が来てくれます。」
片桐さんが爽やかな笑顔で言う。
「ありがとうございます…。」
今は自分の感情をコントロールしなければ…。
メンタリストとして自分がやれる事を実戦する。
なのに…。
30分後…。
「うえぇぇぇっ…、きょーじゅ…、ふええぇぇ…。」
ボロボロとみっともなく涙を流して河合教授にしがみつく私が居た。
「あー…、うん、怖かったねえ。でも、もう大丈夫だよ、三好君。警察の方もちゃんと君を守る体制が出来たからね。」
お父さんのような教授が私を慰める。
「ほらほら、鼻水…、ちーんして…。」
片桐さんが差し出すティッシュの箱から河合教授がティッシュを取り出し私の方に向けて来る。
「ちーん…。」
こういう時の私は完全に女を捨ててると沙莉奈によく言われる。
そのくらい教授の前では無防備になる。
「どうする?学校は不味いから僕の家に行こうか?」
教授が私に聞いて来る。
私は素直にうんうんと頷くしか出来ない。
「ご苦労様でした。」
教授はのんびりと片桐さんに頭を下げて私を警視庁から連れ出す。
教授を見てるとまるで事件など何処にも起きてないような錯覚をする。
それほどまでに穏やかでいつも通りの笑顔で私を見てくれる。
これが教授のメンタリズム…。
相手の心の乱れをゆっくりと溶き解す。