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メンタリズムな恋…
第8章 先生、帰るから待ってて
大学に入学して間もない学生の私は立場も弁えずに教授の研究室に押し掛ける。
「1年の三好です。河合教授に憧れてこの大学に来ました。教授から教わりたい事がたくさんあるので私を好きなだけこき使って下さい!」
初めて会った教授にそう意気込んだ覚えがある。
張り切る私に教授は穏やかな笑顔を向けて来る。
「そう…、なら遠慮なく僕の助手をして貰う。」
そう言った教授は何かと私には一緒に過ごす時間を与えて下さった。
その時は教授も私があの時の3歳の少女だとは気付かなかったと言う。
「大和君が僕のところに来るまではね…。」
再び教授が厳しい表情に変わる。
教授は私の心理鑑定をした後、先生と石井の鑑定もする事になる。
「何故、先生まで?」
「警察は何故、大和君が君を行方不明中の少女と断定して君を救出したのかが謎のままで彼の扱いに困ったからだ。」
私の事件は公開されてない。
犯人である石井と先生との接点も見当たらない。
彼は本当に正義のヒーローか?
それとも実は石井の共犯であり、共犯による裏切りだったのか?
「大和君の鑑定は非常に難しいものだった。」
教授が苦笑いをする。
既にメンタリストとして能力を持つ少年の鑑定。
それをどう警察に説明すべきかを教授は随分と迷ったらしい。
「大和君はともかく、石井の方はかなりの病的だと僕は警察に報告した。」
憎しみに顔を歪ませる教授から恐怖が伝わって来る。
「病的…?」
「石井という男は支配欲が強い。恐怖で人を支配しようとする傾向がある人物だ。」
石井との面会中、教授は何度も石井から脅すような暴言を受けたという…。
「その反面、石井は自分がコントロール出来ずに怯えてる部分も見せた。」
石井は自分を死刑にすべきだと教授に言う。
そこまでの極刑をたかが数時間の誘拐で望む理由がわからない。