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メンタリズムな恋…
第9章 先生、逸れないでね



大丈夫…。

貴方と居るから…。

それを伝える為に彼とキスをする。

ゆっくりと私の唇から離れる彼が私の顔に指先を這わせて不安そうに私を見る。


「なんで…、逃げない?」


先生が呟く。

私は笑って答える。


「先生が私を好きだから…。」

「俺が?」

「そう、有り得ないくらいに私の事を好きだと先生は思ってる。」

「それって自意識過剰じゃね?」

「でも、それが事実。だから私を守ろうと先生は必死だよね。」

「……。」

「ご飯の用意をするから食べて下さい。私はその間にお風呂を済ませちゃいますから…。」


私の答えは間違ってない。

先生は間違いなく私が好き。

私の為ならと必死に何かと戦ってる。

その理由を今夜は聞き出す。

それは先生と私のメンタリズムな駆け引き…。

今までは先生に振り回されてただけだったけど、今夜の先手を取ったのは私だとほくそ笑む。

ご機嫌でお風呂に入りパジャマに着替えてリビングに戻る。

今夜はもう私は何処にも逃げないのだと先生に見せ付けてやる。

お弁当を食べた先生はいつものようにソファーに踞り窓の外をぼんやりと眺めてる。


「先生…。」


先生の隣りに座って声を掛ける。

先生は窓から私に視線を向けて黒縁眼鏡を外しソファーの前のテーブルに置く。

その視線はずっと私を貫き続ける。

私は先生に愛されてる。

先生の揺るがない視線が少しくすぐったくて私の身体が火照って来る。

恋人のような甘い時間の始まり…。

先生のスウェットの袖を握れば、その手が私の顔に触れて来る。

彼に甘えるように身体を預ければ彼は躊躇う事なく私にキスを繰り返す。


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