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メンタリズムな恋…
第9章 先生、逸れないでね



「本当に逃げないなら襲うぞ…。」


先生がクスクスと笑う。

私はその笑顔に答えて笑う。


「いいよ…。でも、その前に私の記憶の封印をちゃんと解いてからね。」


そう答えた瞬間、先生が目を細めてふざけるのを止めてしまう。


「封印?」

「18年前に貴方が私に掛けた封印…。」

「そんなものは掛けてない。」


厳しい表情で私を睨む。

ゾクリとする。

彼を怖いとすら思う。

それでも私は彼と戦う。

その先にあるもっと大きな戦いに挑むには彼の力が必要であり、ここで彼に負けては前には進めない。


「きっと無意識だと思う。私も貴方も18年前はあまりにも幼かった。その幼さが私の記憶を封印してる。それを解く為には先生の助けが必要なの…。」


この先も貴方と居たい。

その気持ちを込めて私から先生にキスをする。

私のキスが離れれば先生は切ない目で私を見る。


「封印の解き方はわかってるよな?」


先生の質問に頷く。

何らかの形で私の記憶は封印された。

その記憶を呼び戻すにはその記憶に関連するものに触れる事が重要だとされている。

その方法の1つとして催眠療法というのがある。

これはメンタリズムの1つであり、メンタリストの心理誘導に催眠状態で誘導される。

一般的には、その催眠によるトランス状態を作り出す事が難しいと言われる。

疑いによる緊張や警戒心がメンタリズムを上回ればトランスに失敗する。

下手をすれば先生のメンタリズムの強さに負けて私は先生にとって都合の良い新しい記憶を生み出す危険性も否めない。

そこが催眠療法の危険な部分…。

だから確かな信頼関係が無ければ行うべきじゃないと私も先生も理解をしてる。


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