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メンタリズムな恋…
第9章 先生、逸れないでね



先生は私の髪をゆっくりと撫でてる。

私は先生を信頼して全てを委ねて目を閉じる。

首筋に這う指先…。

頬に触れる先生の唇…。

くすぐったい…。

だけど気持ちいい…。

眠いけど眠らない。

首筋を這う指先がパジャマの上から私の胸へと降りて来る。


「今日はノーブラ…、先っぽが尖ってる。」

「真面目に封印を解く気あるの?」


目を開けて先生を睨む。


「怖くないのか?」


先生の方が怯えた顔をしてる。


「うん、大丈夫。だって先生が居るから…。」


私に怖い事は起きない。

私は笑顔を絶やさない。

先生だけが迷ってる。

それでも私の頬に軽くキスをしてから


「始めるぞ…。」


と先生が決意する。

私は守られてる。

先生の腕の中に再び身を委ねて目を閉じる。


「今は大学生の亜子…。」


先生が呟く。


「ゆっくりと深呼吸して…。絶対に俺の声だけに集中しろ。俺が亜子を過去に導く。何が起きても俺から絶対に逸れるな。」


わかってる。

先生から逸れたら私は自分を見失う。

だから私は眠らない。

眠らないのに記憶だけが睡眠の世界へと潜り込む。


「大学に入学した亜子…。」


河合教授との出会いを思い出す。


「高校生の亜子…。」


友達と将来への夢を語らいカフェで何時間も過ごした記憶…。

ゆっくりと走馬灯のように私の記憶が私の周りを取り巻いてく。

先生が手を握る。

私の手の甲に口付けをする。


「中学…。」


試験やら受験に戸惑いを見せた思春期…。


「小学校…。」


無邪気だった自分が懐かしいとまで感じる。


「あの日まで記憶を遡れ…、あの日、あのスーパーに出掛けた自分を探すんだ。」


先生の声に導かれて私は自分の記憶の走馬灯の中を駆け回る。


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