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メンタリズムな恋…
第1章 怪しいバイトの始まり
ここで教授と逸れたら2度と下界には帰れないかもと不安になる私は教授の後を追い掛ける。
「やあ、君の助手を連れて来たよ。」
ソファーに向かって教授が話す。
よく見ればソファーには痩せた男が座ってる。
上下が灰色のスウェットのトレーナーを着てて寝起きのようなボサボサ頭のダサい男。
黒く縁の太い眼鏡をかけていてボーッとした表情で教授を見る。
「ああ、河合教授か…。」
ボソリとその人が呟いた。
「誰っ!?」
思わず私は叫んでしまう。
「誰って…、彼がさっき話した大和君だよ。」
教授は平然と私に言う。
「誰?」
ボサボサ頭の男が私を見て言う。
いや…、多分、私を見てるとしか言えない。
彼の伸び切った前髪が眼鏡の半分までかかってて彼の目は見えず表情が読み取り辛い。
「だから、君の為に連れて来た君の助手だよ。」
教授が呆れた声でボサボサ男と話をする。
「「助手って…?」」
私と彼が同時に言う。
「三好君のバイトは大和君の助手をして大和君の身の回りの世話をする事だ。」
まずは私に教授が説明する。
「大和さんの身の回り!?」
「彼、勝手にフラフラと出掛けて行方不明になる上に携帯すら持たないから警視庁も困ってるんだ。しかも無茶な運転をするから昨日も横浜の高速道路でスピード違反で捕まってしまってね。」
「はあ…!?」
「そこで、とりあえず今日からの一週間は彼の運転手役が出来る助手を付けようという事になり、君を推薦したんだよ。」
私と教授の話を聞いた大和さんが
「助手なんか要らない。」
とまた呟く。
「君の希望通り、ちゃんと彼女は心理学を学ぶ優秀な助手だよ。」
大和さんに対して教授が私の事を説明する。
「ふーん…。」
教授の言葉を聞くと私に興味を失くしたように彼はソファーに踞る。