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メンタリズムな恋…
第1章 怪しいバイトの始まり
「それじゃあ、三好君、後は頼んだよ。」
それだけを言って教授がこの部屋から出て行こうとするから私も慌てて教授の後を追う。
「いや…、だから三好君はここに残るんだよ。」
「えーっ!?私は残るのですか?」
「うん、そう。大和君がまた行方不明になったら、もう君の責任になるからね。」
「私の責任なんですか!?」
なんだか理不尽なバイトな気がして来る。
「ああ、そうだ。先にこれを渡しておくね。今回のバイトの経費。お給料はこの一週間が終わった時に、この倍は出るから頑張るんだよ。」
教授がジャケットの内ポケットから銀行の封筒を出して私の手に握らせる。
「それじゃあね。」
私の肩をポンポンと叩いた教授はこのペントハウスと呼ばれる部屋から立ち去った。
「経費?」
ひとまず封筒の中身を確認する。
「20万!?」
これがバイトの経費!?
しかも教授は給与はこの経費の倍は出ると言った。
つまり、この一週間を乗り切れば私は当分はバイトの必要がなくなるという美味しいバイト…。
「とにかく大和さんが行方不明にならないようにするだけのアルバイトよ。」
ブツブツと自分に言い聞かせて、この一週間のバイトを無事に乗り切ろうと試みる。
先程のリビングに戻るとソファーでグッタリとするモヤシ男が目に入る。
なんていうか…。
地味…。
この豪勢な部屋に似つかわしくないボロ雑巾が落ちてるようにも見える。
「えーっと…。」
大和さんと呼ぶべき?
「や…。」
何故か呼べない。
私の目にはどうしても、あの大和 幸之助には見えない為にその名を口にする事を私の脳が拒否してる。