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メンタリズムな恋…
第9章 先生、逸れないでね



霧がかかり見えそうで見えない私の記憶…。


「そこだ…。」


先生の声がする。

チュッと私の額でリップ音がする。

目を閉じてるのにパァっと私を取り巻く辺りが明るい光を放ち白い世界が広がってく様が見える。

幼く小さな私は少し若いお母さんと手を繋ぎ大型モールに足を踏み込んでいた。


「今夜はご馳走だよ。」


お母さんがご機嫌に笑う。

プレゼントのネクタイはもう買ったから、後は食事の材料を買うだけだとお母さんが言う。

せっかくのお父さんのお誕生日なのに…。

素直に祝えない私が居る。

理由は夕べ、お父さんに振られたから…。

3歳の私は夢見る夢子な少女。

大きくなったらテレビで観る魔法少女になり、お父さんと結婚すると本気で信じてた3歳児…。


『あのね、亜子。お父さんはお母さんと結婚しちゃったから亜子とは結婚が出来ないんだよ。』


不器用で照れ屋なお父さんはもうすぐ4歳になるのだからと私に残酷な現実を突き付ける。


『やだっ!亜子はおとーしゃんとけっこんする。』

『いつか、亜子にはお父さんよりも大好きだと思う人が現れるよ。』

『やだっ!おとーしゃんがいいの。』


そうやってお父さんに振られた私はいじけたままお母さんと買い物にやって来た。


「亜子の欲しいオヤツを買っておいで…。」


お母さんが苦笑いをして私の機嫌を取る。


「いいの?」


お母さんに確認する。

私が欲しいのはオマケ付きのお菓子…。

中には飴が1個しか入ってないのにオマケのせいで一人前の値段になるという無駄なお菓子を普段のお母さんなら買うのにあまりいい顔をしない。

田舎町にマイホームを買ったお父さんは苦労をして都心にある会社に通勤してる。

田舎町だからお母さんは簡単にパートに行けない。


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