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メンタリズムな恋…
第9章 先生、逸れないでね
そんな親の苦労なんかまだ理解が出来ない3歳の私は幼稚園でそのお菓子を大人買いして貰った久美子(くみこ)ちゃんが羨ましくて仕方がない。
オマケは全部で10種類…。
魔法少女が魔法を使う為に必要なアクセサリーになってるそのオマケを集めるのが幼稚園の女の子の中で流行病のように蔓延する。
大人に変身する為のペンダント…。
魔法界と通信する為のイヤリング…。
悪者を倒す武器を出してくれる指輪…。
ピンクでゴテゴテとした安物の玩具だけど魔法少女になりたい私はそのアイテムが欲しくて堪らない。
そのお菓子は小さな子供にはとても残酷…。
オマケは必ず自分が欲しいものが買える仕組みになってない。
今までに4つだけ買って貰った。
一番人気のペンダントとブレスレットは手に入れた。
次に欲しいのは指輪なのに…。
無情にもオマケは2個目のペンダントと要らないイヤリングという結果に終わる。
魔法事件が起きた事を知らせてくれる髪飾りでもいいんだよ。
お母さんと離れてお菓子売り場に向かった私は魔法少女が描かれたパッケージにそっと祈る。
ズラリと並ぶ魔法少女…。
その1つを両手で大切に抱えて握る。
全てが揃えば魔法少女になれると信じてた。
早々と全てを手に入れた久美子ちゃんが未だに魔法少女になってないのだから全てを手に入れたとしても私が魔法少女なれるはずないのに…。
その頃の私はなんでも素直に信じて疑わないのが取り柄とも言える子だった。
目的のお菓子を手に入れると振り返ってお母さんを探す事にする。
「おかーしゃん…。」
通路に出た。
いつも行く近所の小さなスーパーなら通路に出ただけでお母さんの姿が見える。
だけど、ここは巨大なスーパー…。
大きな棚がモンスターのように私をお母さんの所に戻る事を阻んで来る。