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メンタリズムな恋…
第9章 先生、逸れないでね
ただ先生にしがみつく。
先生はゆっくりと私の背中を撫でてる。
静かな時間が流れる。
先生の温もりの中で先生の胸に寄せた耳に先生の心臓の鼓動が聞こえて来る。
1つ…。
2つ…。
1つは私の鼓動…。
先生の鼓動と混ざり合い1つになり、また音が少しづつズレていく。
私の鼓動の方が早い…。
先生が私を好きなのに、私の方がもっと先生を好きみたいに感じる鼓動に口を尖らせる。
「先生、狡い…。」
「何が?」
「なんで、そんなに冷静なの?」
「冷静じゃないと亜子を守れない。」
私を抱きかかえたまま先生が呟く。
私の頬を指先で優しく撫でては私の額にキスだけを繰り返す。
ボロ雑巾のくせに…。
伸び切った前髪の隙間から垣間見える先生の瞳はずっと私だけを愛おしげに見てる。
今、止めても先生は私の傍に居てくれる。
私から完全な恐怖が無くなるまでメンタリストとして私を恐怖から守ろうとする。
先生との鼓動が1つになる。
先生が居るからこそ私は冷静で居られる。
「全てを知りたいの…。」
先生の服を握りそう呟く。
再び、大きく息を吸い目を閉じる。
アイツは間違いなく私の名を呼び私の気を引いた。
とても綺麗な顔をしてて流し目で私を見る。
今だからわかるのは、その目は先生と全く違いとても冷たく私を品定めする目をしてた。
なのに僅か3歳の私にはその人が魔法王子に見えてしまう。
魔法少女が危機に陥ると必ず助けに現れる魔法界のプリンス…。
幼い魔法少女が密かに恋心を抱く大人の男…。
そのプリンスに似た綺麗な顔の男が私の前にしゃがみ込み私の手をそっと握る。
「お母さんが待ってるから行こう…。」
そう言われて私はその男とスーパーを出て行く。