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メンタリズムな恋…
第10章 先生、デートですか?
先生に相応しいと言える女の子には程遠い存在の女の子がバスルームの鏡から私を見る。
私だって…。
頑張れば…。
小さな希望を抱き着替えをする。
「もっと、良い服を持ってくれば良かった…。」
リュックに詰め込まれた自分の服に嘆きたくなる。
学校に着て行く普段着ばかり…。
お洒落として少しは小マシな水色のワンピースに着替える事にする。
肩周りの露出度が高いワンピース…。
『亜子は痩せてるから露出高目のスリムなワンピースが似合うよ。』
そう言ってふわふわで可愛らしいお洒落を好む沙莉奈が選んでくれたワンピース…。
残念ながら河合教授には全く気付いて貰えなかったお洒落に終わったという苦い経験があるが、私の唯一のお洒落な服って、この程度しかない。
淡いピンクのルージュを引き、唇をキュッと結んでルージュを馴染ませる。
少し厚みのある下唇に艶が出てふっくらとした輝きを放てば、ほんの少しは可愛らしく見えるかもと期待して鏡を覗く。
そこに居るのはいつもの私…。
一晩で先生に相応しい可愛い女の子に変身するとか魔法少女でもない限り不可能だと悟る。
がっくりと肩を落とす。
バスルームの扉がノックされる。
「亜子…、準備は出来たか?」
先生が私を待ってくれてる。
いつもなら勝手気儘にふらふらと居なくなるボロ雑巾が今日は私の為にまだペントハウス内に居る。
本気で神戸に私を連れて行くつもりだと思う。
「おかしくない?」
バスルームから出て先生に聞いてみる。
自分の姿に自信がない。
しかも…。
先生の姿に私の方が目を見開き驚く事になる。
黒のTシャツにスリムジーンズというシンプルな姿の先生だけど…。
整えて掻き上げた髪は先生の綺麗な瞳を隠す事など出来ず私をあの麗しい流し目で見る。