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メンタリズムな恋…
第10章 先生、デートですか?
「いいんじゃないか…。」
穏やかな笑顔を見せた先生が幅広いサングラスを掛けて特徴的な流し目を隠してしまう。
まるでモデルとか芸能人だ…。
ボロ雑巾じゃない先生の姿にドキドキする。
頭…、小さいし…。
脚…、長いし…。
肩幅…、意外と広いし…。
禍々しい美しさを放つ魔物が居る。
その美しさに魅力される。
「ほら、行くぞ。」
先生がテーブルにあった鍵束を握る。
「待って…。」
あまり可愛くないバッグを掴み先生を追いかける。
「早くしないとおいてくぞ。」
わざと意地悪に先生が笑う。
先生に不釣り合いな私だけが笑えない。
扉の前に立つ警備の人も先生の変貌ぶりにポカンと口を開けて見てるだけになる。
「いってきます…。」
警備の人に頭を下げる私の手を強引に先生が引く。
エレベーターに乗り込めば先生が私の腰を抱き寄せながら頬を撫でる。
「アイツらは放っとけって言ったろ…。」
膨れっ面の先生…。
私の手を握る手に力が篭る。
先生の視線に縛られる。
逃げる事なんか出来ない。
いつの間にか私は先生のものだと心に刻まれてる。
「ちょっと…、挨拶しただけだよ…。」
先生に嫌われるのが怖くて言い訳する。
幼い私はアイツに支配を受けた。
今の私はその支配を退ける先生に支配される。
先生の手を握り返す。
その手をゆっくりと持ち上げて先生が甲へと口付けをする。
サングラスの向こう側に見える流し目が視線だけで私を射抜く。
頭をクラクラさせながらエレベーターを降りフラフラと駐車場へ向かう。
先生の赤い車…。
運転席側へ行くと先生が
「今日は俺が運転する。」
と呟く。