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メンタリズムな恋…
第10章 先生、デートですか?



運転は助手である私の役目…。


「でも…。」

「いいんだ。今日は大した距離じゃない。」


先生はそう言うと私に向かって助手席の扉を開ける。

なんだかお姫様扱いされてる。

慣れない事をされると身体がぎくしゃくする。

ふっと先生が笑う。

恥ずかしいから…。

先生を見られずに窓の外へ視線を向ける。

慣れた手つきで先生が車を出す。


「こんな古いミッションの運転が良く出来ますね?」


他愛のない会話を試みる。


「予算のないFBIは80年代の旧車ばかり、お陰で最新オートの運転の方が難しいと感じる。」


嘘か本当かわからない話を先生がする。


「本当に?」

「良い車は捜査で活躍してる捜査官にしか回って来ない。」

「先生だって活躍してるじゃないですか。」

「俺はデスクワークだと思われてる。」

「そうなの?」

「分析官だからな。」


FBIでは医療などの専門学を取得した捜査官は分析官と呼ばれ科学的根拠の捜査が求められる。

先生の場合は心理分析…。

靴底を減らして駆けずり回る体育会系捜査と違いプロファイリングなどのデスクワークが主になる。


「でも…、アメリカならメンタリストが働ける。」


それだけでも羨ましいと思う。


「なら、亜子もアメリカに来るか?」


サラリと聞かれて答えに困る。

アメリカ!?

行けば先生の傍にまた居られますか?

ドキドキして緊張する。

きっとまた私の顔は真っ赤だと俯く。


「着いたぞ…。」


私の緊張を解す先生ののんびりとした声がする。


「はい?」


着いたのは東京駅…。

先生は私に新幹線のチケットを買えと言う。


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