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メンタリズムな恋…
第11章 先生、助けて…
こういう表情はメンタリストでなくともしっかりとわかる。
はいはい、ごめんなさい。
私が悪うございました。
先生に向かってあっかんべーと舌を出す。
『もしもしっ!三好さんっ!』
携帯からはまだ焦る片桐さんの声がする。
「はーい、先生なら私と一緒ですよ。」
ちゃんと仕事はしてますアピールを片桐さんにする。
『違います。貴女に連絡する事があります。今は何処に居るのですか?』
そう聞かれても答えに迷う。
先生と神戸に居て、今からちょっとイチャイチャしようとしてました。
そんな事を爽やかな王子様には言えない。
『三好さん…。』
片桐さんの声がかなり焦ってる。
「えーっと…。」
このまま電波が悪いからと電話を切っちゃう?
先生は思いっきり不機嫌を出してるし…。
『三好さん…、落ち着いて聞いて下さい。』
焦れた片桐さんが一方的に話す。
『今朝、突然石井が貴女の大学に現れました。河合教授と言い争い河合教授が石井に刺されて重症を負いました。現在、河合教授は手術中です。』
片桐さんの話が耳に入らない。
「先生…。」
息が出来なくなる。
河合教授が…?
何?
手術中…?
誰が?
頭に血が上り考えが纏まらない。
「いやぁぁああっ!」
狂ったように叫ぶ私を先生が抱き留める。
「亜子っ!」
叫ぶ口を先生の口が抑え込む。
何事かと付近に居た人が私達を振り返る。
先生が自分の身体の影に私を隠す。
携帯からは
『三好さんっ!もしもしっ!三好さんっ!』
と叫ぶ片桐さんの声がする。
後の事はよくわからなくなっていた。