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メンタリズムな恋…
第11章 先生、助けて…
タクシーに乗り新幹線で再び東京へと舞い戻る。
東京駅で私を心配する片桐さんが待ってる。
「河合教授は?」
冷静な先生が私の肩を抱いたまま片桐さんに聞く。
「手術は終わりました。三好さんを病院へ連れて行きます。」
先生を睨む片桐さんが私を先生から奪おうとする。
「俺が連れて行く。」
先生も譲らない。
「貴方は自分勝手をして三好さんや河合教授を危険に晒してるだけだっ!」
片桐さんが声を荒らげるから私は怯えて先生にしがみつく。
「止めろ…、片桐、亜子が怯える。」
「2人共、僕の車に乗って頂きます。」
片桐さんが先生と私を連れて車へ向かう。
河合教授に何があったの?
お父さんのような教授…。
大好きな教授…。
涙が溢れて止まらない。
「大丈夫だ。」
先生の根拠のない言葉は耳に入って来ない。
片桐さんの車の後部座席に先生と乗り込む。
「石井が突然大学に現れました。大学は夏休みという状況で学生は少なく河合教授と口論する姿だけが一部の学生に目撃されてます。」
状況説明を運転しながら片桐さんがする。
「その1時間後、准教授の1人が研究室で倒れてる河合教授を発見し、通報が来ました。河合教授の腹部はナイフのようなもので切り裂かれています。」
淡々と続く説明に吐き気がする。
先生はずっと私の肩を撫でて私を落ち着かせようと努力する。
「現在の石井は緊急指名手配になってます。」
悔しげに片桐さんが言う。
石井の事なんかどうでもいい…。
私が心配なのは河合教授だけ…。
だから片桐さんの話も耳に入らない。
涙を流し続ける私を片桐さんは病院へと連れて行く。