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メンタリズムな恋…
第11章 先生、助けて…
私が帰ると不機嫌になる。
私が来ないと辛い顔をする。
私は貴方の傍を離れない。
その思いだけでホテルへと飛び込む。
エレベーターに乗りペントハウスのあるフロアへ向かえばペントハウスの前に立つ警護の人がまたしても驚きの表情を私に向ける。
警護の人の表情で先生が中に居ると理解する。
警護の人は先生だけが1人で帰って来て、私は病院だと片桐さんから連絡を受けてるからこそ驚きの表情をする。
もしも、先生が行方不明のままなら帰って来た私に驚く前に先生は何処だと聞くはずだ。
その警護の人を無視してペントハウスの中へと入る。
今は時間が惜しい。
「先生っ!」
私に必要なメンタリストを呼び付ける。
「先生っ!」
リビングに向かえば私を待ってた先生がソファーから立ち上がる。
「亜子っ!」
先生の手が私に向かって伸びて来る。
その腕の中に飛び込み先生にしがみつく。
私のメンタリスト…。
私の魔法の鳥…。
その瞬間、私の身体がガクリと地面に落ちる。
「せ…ん…せ…。」
意識が一気に過去へと飛んだ。
石井と父親が怒鳴り合う。
小さな私は怖くて車の影に隠れる。
倉庫のような場所…。
埃っぽく、車は2台くらい置ける倉庫。
壁の隅に戸棚があり、庭の手入れをする為の梯子(はしご)やハサミが置かれてる。
窓が見えるけど2m近く上にある窓に小さな私の手は届かない。
3歳の私は梯子を使うとかまだわかってない。
石井と父親が倉庫から出て行く。
子供心にあのおじさんは悪魔から私を助けてはくれない人だと感じる。
知らない場所で1人にされた私は途方に暮れる。
手には魔法少女のお菓子がある。
そのお菓子だけが今の私の慰めであり、生きる希望でもあった。
お菓子のパッケージを宝箱を開けるようにして開く。