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メンタリズムな恋…
第11章 先生、助けて…
夢も希望も失った。
私は魔法少女にはなれない。
夢見る夢子は現実を悟り、恐怖を全身で感じる。
涙すら出ない。
恐怖に怯え足が震えるだけだった。
怖さで車の影に踞る。
「大人しくしてろ…。」
悪魔が命令し、倉庫から出て行く。
もう何も出来ず小さな私は更に身体を小さくして座り込むしか出来なくなる。
倉庫は暗闇に包まれる。
恐怖で目だけを見開き、暗闇の中をじっとするだけの私が居た。
この段階で私の心は壊れ始めていたと思う。
あの人が来るまでは…。
暗闇の中に月明かりが差し込む。
窓が開き明かりの中へふわりと1人の少年が飛び降りて来る。
鳥のように見える。
まるで魔法の鳥…。
普段は鳥の姿で魔法少女に寄り添う少年。
魔法界では少年の姿に変身する。
魔法プリンスへの連絡役として活躍する魔法の鳥である少年が倉庫の中へと降り立つ。
私は慌てて車の裏側へと身を隠す。
私よりも大きな男の子。
詰襟の学生服を着てボサボサ頭に眼鏡という姿の男の子が突然現れた事に警戒する。
その子は眼鏡をしてるけどあの悪魔のようにとても綺麗な顔をしてる。
きっとあの悪魔の分身で手下なんだ。
幼い私はそう思う。
「ここから出してやる…。」
小さな悪魔がそう囁き私を誘惑する。
「お父さんとお母さんのところに帰ろう。」
小さな悪魔が独り言を呟くように言い、私の方へと向かって近付いて来る。
「いやっ!来ないでっ!」
私は少年から逃げる為に車に沿って下がる。
車を挟むようにして少年が私を見る。
「しっ…、静かに…。」
少年が声を潜める。
あの悪魔と同じ事を言う。