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メンタリズムな恋…
第11章 先生、助けて…
悪魔に心を支配された私は少年を完全に疑い逃げる事ばかりを考える。
少年が困った顔を私にする。
私がプロポーズした時のお父さんの顔と重なる。
「参ったな…。」
少年が小さく呟く…。
私は少年を睨み続ける。
「ゲームをしよう。」
眼鏡を外し髪を手で搔き上げた少年がフッと笑う。
ゾクリとした。
それはあの悪魔よりも綺麗な笑顔だった。
あの悪魔に殺されるなら…。
こっちの小さい悪魔の方がいいかも…。
3歳ながら私は少年の美しい笑顔に魅了される。
「ゲーム?」
「ジャンケンは出来る?」
少年が聞いて来る。
小さな私が大きく頷く。
ジャンケンは得意…。
幼稚園でも誰にも負けた事がない。
ドヤ顔する久美子ちゃんはここという勝負の時は唇を噛み必ずグーを出すと知ってる。
他の子が自信なさげな表情をする時はほとんどがパーを出す。
その違いをちゃんと知ってる私はジャンケンだけは自信がある。
「ジャンケンで勝った方が質問する。負けたらちゃんと答える事…。」
少年が上唇を悪戯っ子みたいにぺろりと舐めてルールを説明する。
「質問?」
「そう、名前とか…、色々な。」
「わかった…。」
とにかくジャンケンに勝てばこの少年が何者かがわかるというゲームだから私は気合いを入れてジャンケンに備える。
少年は小さな声で
「ジャーンケンッ…ポンッ…。」
と合図する。
最初の勝負は私の勝ち。
ニンマリと笑って少年を見る。
「あちゃー…負けた。知りたい事は?」
「お名前…。」
「大和…、幸之助…。」
「こーのすく?」
「幸之助だ。ほら、もう一度…。ジャーンケンッ…ポンッ…。」
今度は私が負ける。