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メンタリズムな恋…
第12章 先生、話が聞きたい
チュッと額からリップ音がする。
「約束だ…。」
幸之助が私に誓いのキスをする。
幸之助に守って貰う。
小さな私が頷くと幸之助が私を背負い学生服で自分の背中にしっかりと括り付ける。
「しっかり掴まってろよ。」
「うんっ!」
幸之助が侵入して来た窓から私を背負った幸之助は軽々と脱出する。
倉庫の裏側へ出た。
数m先に壁がある。
辺りを見渡し幸之助は壁へ進む。
器用に壁をひょいとよじ登り、外の道路へひらりと舞い降りる。
まさに魔法の鳥…。
軽やかで美しく舞う鳥…。
幼心にワクワクする。
玩具でなく本物の魔法の鳥を手入れたのだという優越感に浸る。
そこから数百mを幸之助は私を背負ったまま走る。
道路は山道のような道路でガードレール以外は雑木林しか見えず、他の民家が存在しない。
そのガードレールに立て掛けてある自転車が見えて来ると幸之助が背中に居た私を抱っこするように前の方に抱き直す。
「落ちるなよ。」
「うん…。」
「寒くないか?」
季節は秋…。
山間部の夜はもう寒い。
幸之助は私を学生服で包み自分の身体に固定する。
幸之助が暖かい。
「こーのすけ、あったかい。」
「そっか…。」
照れたように笑う幸之助が私の額にキスを落とす。
それは夜にベッドで絵本を読んでくれるお父さんやお母さんのキスと同じ優しさを感じる。
私を抱きかかえる幸之助が自転車に跨る。
「行くぞ…。」
ゆっくりと自転車のペダルを踏みしめて幸之助の自転車が走り出す。
少しばかし走れば、道は下りの坂道になり自転車は凄いスピードで坂道を下る。