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メンタリズムな恋…
第12章 先生、話が聞きたい
幸之助と2人だけの世界になる。
そこには幸之助の温もりだけが存在し、確かな安心感だけを感じる世界が広がる。
「ひゃっほーっ!」
幸之助が叫びながら自転車を飛ばす。
スピードが出る事を喜んでる。
数十分ほど走れば街明かりが見えて来る。
街の中でも幸之助は自転車を凄いスピードで走らせる。
それは悪魔が追い付けないスピード…。
赤いランプが灯る建物の前で自転車が停まる。
街外れにある小さな交番…。
もう深夜だから中にはお巡りさんと呼ばれる制服の警官が1人だけしか居ない。
私を抱っこしたままの幸之助が交番の中へと入る。
お巡りさんはこんな時間に突然現れた怪しい中学生をじろりと見る。
「どうしたんだ?こんな時間に…、早くお家に帰らないとご両親が心配するぞ。」
お巡りさんが幸之助を叱るように言う。
幸之助が息を吸う。
「この子は三好 亜子…、3歳です。きっと捜索願いが出てます。調べて貰えますか?」
冷静に幸之助が言う。
「捜索願い?」
お巡りさんの目付きが変わる。
幸之助は私を抱っこしたまま私の姿をお巡りさんに見せる。
お巡りさんは警戒するように無線で何かを確認する。
無線からは直ぐに返事が戻って来る。
「君は?」
お巡りさんは幸之助を疑ってる。
「大和 幸之助…、この子を拐ったのは俺の…。」
3歳の私にはわからない言葉を幸之助が呟いた。
10分もせずにその小さな交番はたくさんのパトカーで囲まれる。
女性の警察官が近付いて来る。
「その子をこっちへ。」
幸之助に向かって私を渡せと手を差し伸べる。
幸之助は大人しく私を渡そうとしたのに…。
「いやっ!」
私が幸之助にしがみついて離れない。