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メンタリズムな恋…
第12章 先生、話が聞きたい
「神戸に居たんだ…。」
先生が話をしてくれる。
私の胸に顔を埋めて私にしがみつく先生の髪を優しく撫でて話を聞く。
衰弱するお母さんと小学生の先生は神戸の祖父母と暮らす事になる。
お母さんは回復する事なく亡くなり、しばらくして祖母も亡くなる。
「俺が不幸を中国から持って来たのかもしれないと当時はかなり凹んだ。」
悲しく先生が笑う。
残った祖父だけでは先生と生活する事が難しい。
「母の兄夫婦が神奈川に呼んでくれた。」
兄夫婦はシングルマザーになろうとしたお母さんに反対し、どうしても産むなら先生を養子にすると言ってた夫婦だった。
それでもお母さんは先生を手放す事は出来ないと言い中国に逃げて無理な生活をした。
「叔父夫婦はとても良い両親だったよ。今も俺の良き両親だ。」
祖父と神奈川に移り、叔父夫婦の養子として暮らす事になる。
「アイツが全ての元凶だ。」
先生に降り掛かる不幸を叔父が先生の父親のせいだと言う。
それでも先生は叔父に自分の父親の事を知りたいと望んでしまう。
それが検察官である石井の父親…。
お母さんが弁護士事務所の事務の仕事をしてた時に知り合ったらしい。
石井には妻と子が居た。
なのに先生のお母さんと不倫関係になる。
「ただ、俺の存在を知ってるのかが知りたかっただけなんだ。」
お母さんは石井の父親に先生の存在を話したのか?
先生の中でその疑問が日に日に大きくなる。
中学生になり成績が良かった先生は東京の私立中学へと進学する。
「検察庁へ何度か親父の姿を求めて見に行った。」
父親に会えば文句を言ってやる。
お母さんが亡くなったのはお前のせいだと父親に一言だけ言いたかった。