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メンタリズムな恋…
第12章 先生、話が聞きたい
彼も人の子だと感じる。
お母さんは先生をキリストだと言い、神の子として育てた。
しかし、先生は人の子だった。
優しい義父よりも本物の父親を心の何処かで求めてしまう。
「直ぐに親父はわかった。」
検察庁を出て来る父親を発見する。
先生とよく似た鋭い流し目の持ち主。
妻を持ちながらお母さんを魅了した男…。
何度か先生は父親の後をつける。
自分なりに父親の事を調べる。
父親は何故か都心を外れた山奥にある別荘へ帰る。
そこで息子である石井と2人だけで暮らす。
「奥さんは?」
「FBIに入ってからも色々と調べた。石井の母親はある日、階段から落ちて意識不明になる。警察の調べでは階段から落ちた時に家には誰も居なかった為に事故として処理された。それから3年後、病院で寝た切りのまま彼女は亡くなってる。」
「先生は事故だと思う?」
「俺にわかる事は母親が石井の教育に厳しかったという事と石井が大学受験に失敗した時に事故が起きたという事だけだ。」
「大学には行ってたよね?」
「母親が望まない三流の大学にな。その大学も母親の死亡と同時に行かなくなり結局は休学からの除籍になってる。」
その石井と父親は意識不明の母親の入院と同時に事故が起きた家を売り別荘へと移り住む。
あの日、学校が休みだった先生は石井と父親が暮らす別荘に向かう。
ずっと壁の向こうから別荘を見てたらしい。
父親が1人になるチャンスを待つ。
石井が車で出掛けるのを見る。
帰って来た石井が倉庫に車を入れる。
倉庫のシャッターが開いてた。
車から降ろされた私の姿も確認する。
そして怒鳴り合う親子を見た。