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メンタリズムな恋…
第12章 先生、話が聞きたい
「お前は悪魔だと自分の子に言う親父を見た。」
冷めた表情で先生が呟く。
先生は躊躇う。
もし、自分が息子だと名乗っても父親は先生の存在も悪魔だと言って否定するかもしれない。
「石井はそんな親父を鼻で笑ってたよ。」
夜になり、石井も父親も別荘から出て来る気配がなくなる。
先生は倉庫の中に居た女の子が気になり、とうとう壁を超えてしまう。
先生が倉庫の窓から中を覗く。
そこに私が居た。
「有り得ないと思った。小さな女の子を倉庫に閉じ込めてるとか…。もしかしたら俺の妹かもしれないと最初は思ったさ。」
先生が私の顔を愛おしげに撫でる。
「だけど倉庫に侵入して亜子の顔を見た瞬間に気付いたんだ。この子は何もわからず石井に拐われて来た子だと…。」
既にメンタリストとしての片鱗を持つ先生は一瞬で私の怯えを誘拐だと判断した。
「亜子が眠り警察に引渡した後、俺の両親も俺を迎えに来た。」
たっぷりと先生はご両親に怒られる。
あの父親は先生とお母さんを捨てた悪魔だと先生はご両親に言われる。
「俺は神の子じゃなくて悪魔の子だと笑うしかなかった。」
翌日、石井の家に警察が行く前に石井を連れた父親が警察の方へ出頭する。
一応は警察も倉庫を家宅捜索する。
車には私の指紋があり、石井は私をスーパーから連れ去った事を認める。
それでも警察は逮捕するまでに至らない。
「どうして!?」
「俺の供述が否定されたからだ。」
怒りを滾らせる先生が唇を噛み締める。
石井の父親は先生の存在を否定した。
そんな子供は知らないと…。
自分に愛人など存在せず、息子に腹違いの弟など居ないと証言する。