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メンタリズムな恋…
第2章 先生、事件です
「80年代ミッション…、運転は出来るのか?」
明らかに呆れを含む声がする。
「出来ますよ。」
意地だけでそう答える。
確かに赤い小さな車はかなり年季の入ったレトロ車だと感じる。
ドアの鍵穴にキーを差し運転席に乗り込めば先生が助手席の窓を叩いて来る。
どうやら窓を開けるにも手動らしい。
「はい?」
「開けろ。」
集中ドアロックという近代設備のない車。
運転席から身を乗り出し助手席側のドアロックを内側から手動で解除する。
「本当に運転は出来るのか?」
「大丈夫です。任せて下さい。」
教習所で習った通りにエンジンをかけてクラッチを繋ぎ運転する。
2度ほどのエンストをしたが駐車場を出る頃にはどうにかこの車の運転が出来るようになった。
「どちらまで?」
ホテルを出て道を聞く。
「横浜…。」
先生がそう呟く。
「今からですか!?」
このオンボロの車でボロ雑巾男を連れて東京から横浜に向かえって…?
まだ夕暮れ前とはいえ直に夕方のラッシュが始まるだろういう時間帯に東京から横浜に向かえと言う先生を憎みたくなる。
「なんで横浜なんですか?」
言われた通りに横浜行きの高速道路に向けて車を走らせながら聞いてみる。
「ラーメン…、食いたい。」
信じられない答えが返って来た。
「ラーメンなら都内に何万軒ってありますよ!?」
「何万もある訳がない。」
例え話だろ!?
「とにかく新宿に行けば九州ラーメンだろうと関西ラーメンだろうと東北ラーメンだろうとありとあらゆるラーメンが食べられます。」
嫌味には嫌味を返すべきだと判断した。