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メンタリズムな恋…
第2章 先生、事件です



彼は確か昨日も横浜の高速道路で捕まったと教授が言ってた事を思い出す。


「ラーメンは横浜なんだ…。」


彼はそう呟くと狭い助手席で膝を抱えて踞る。

痩せた先生が身体を小さくして踞ると本当に小さな少年のように見えて来る。


「わかりました。今から横浜に行きますから。道はちゃんと教えて下さいね。」


根負けした形で言うしかなかった。

どうせ時間はある。

気不味いままホテルのあの部屋に2人で居るよりもちょっとしたドライブの方がまだ良いと思う。


「ありがとう…。」


先生はそれだけを呟くと踞ったまま顔を上げようとはしなかった。

高速道路に乗り横浜へと車が進む。

少しづつ他の車が増えてるから早く横浜に着きたいと気持ちが焦り出した頃だった。


~♪♪


何やら耳に馴染みのあるメロディーが聞こえて来る。


「先生、申し訳ございませんが私のバッグから携帯を取って頂けませんか?」


私は運転中である。

しかも安全運転を心掛ける優良ドライバーだ。


「先生って…、誰?」


彼がそう呟く。


「貴方の事ですよ。私は助手。」

「助手さんって呼べばいいの?」


初めての会話らしい会話だけど、どうにもこの人との意思疎通は難しい。

そうする間に着信音が途絶えて私はため息を吐く羽目になる。

しかし携帯は私を再び呼ぶように着信音を奏で出す。

沙莉奈かもしれない。

今日の沙莉奈は本気で私を心配してた。


「先生、お願いだから…。」


そう懇願すれば先生が私のバッグを膝に乗せて中を確認する。


「これが君の携帯?」


ピンク色のカバーを付けた私の携帯を見せて来る。

確かにそれは私の携帯である。


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