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メンタリズムな恋…
第13章 先生、冷たいよ
「大和さんも大和さんだが、三好さんも三好さんだ。幾ら助手だとしても、そんな事は見習うべきじゃない。」
片桐さんが呆れた声でそう言いながら私の方へと歩いて来る。
「そんな事ってなんだ?」
とぼけたように先生が言い、私の前に1歩出て片桐さんから私を隠す。
「警護を困らせるって事ですよ。わざわざ警察が保護の為にと派遣してるというのに…。」
「亜子は保護用だが俺のは違うだろ?」
「当然です。だから三好さんはこちらへ。」
片桐さんが私に手を差し伸べる。
「先生の警護が違うって…、どういう意味?」
私の知らない事がまだある。
いつもは爽やかな笑顔をする片桐さんが私の質問に険しい表情をする。
「言ってやれよ。片桐…、俺は限りなく黒に近い灰色だと日本の警察は考えてると。」
先生がわざと怖い声で片桐さんを威嚇する。
片桐さんの表情が歪む。
「限りなく黒に近い…?」
「そう、俺は容疑者扱いって事だ。」
「そんな…、違うよね?片桐さん。先生はそんな人じゃないって片桐さんだってわかってるよね?」
私の質問に片桐さんが俯く。
「片桐さんっ!」
たった一言…。
違うという言葉が欲しかった。
なのに片桐さんは
「三好さんはこちらへ。でなければ今ここで大和さんを逮捕します。」
片桐さんの顔が歪む。
それは正義の言葉じゃないと片桐さん自身がわかってるからだ。
「何の容疑でだ?」
先生が真面目な片桐さんを挑発する。
このままじゃ拉致が開かない。
「先生は黙っててっ!片桐さんだってわかってるんでしょ?先生を逮捕しても意味がないって…。」
片桐さんを説得する。
私の貧弱なメンタリズムがどこまで通用するかはわからない。