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メンタリズムな恋…
第13章 先生、冷たいよ
それでも、こんな諍いは無意味だと感じる。
私は私の力を使う。
「なら、三好さんはこちらへ。」
片桐さんは譲らない。
「嫌よ…、そもそも何故、警察から先生が容疑者扱いを受けてるの?」
「それは…。」
片桐さんの顔がますます歪む。
悲しげに歪むその顔に私の胸の奥が痛くなる。
「片桐さんっ!」
痛みに悲痛な叫びを上げる。
「答えてやれよ。亜子が苦しむだけだぞ。」
この状況を既に征してるメンタリストが冷たい言葉を吐く。
「警察の判断は大和さんが信用出来ないという判断だからです。」
力無く片桐さんが答えて下を向く。
「信用…が…出来ない?」
「そこまでだ。亜子…、片桐を追い詰めるな。」
先生は私の肩を引き寄せる。
「先生?」
「俺の立場は重要参考人って扱いだ。俺はあの石井の弟で嘘を並べ立てた親父の息子だからな。」
「だからって重要参考人扱いになるの?」
「警察は俺が石井を隠してる可能性を考えてる。だから犯人隠匿の罪で俺に対する逮捕権を片桐に持たせたんだろ?」
基本的に重要参考人は容疑者とは違う扱いになる。
一般的に重要参考人は目撃者など事件について重要な証拠や証言を示せる人の事を言う。
それでも参考人が警察を裏切る素振りを見せれば警察は容疑者の共犯として扱いを変える。
場合によっては逮捕してでも容疑者を追い詰める情報を求める。
そうした重要参考人に一番多いのは家族…。
家族は犯罪者であっても身内だからと庇うものだと警察は常に考える。
「先生が弟だから…、たったそれだけで先生を疑うの?」
「家族である。更に彼が優秀なメンタリストであるという事が脅威でもあるのです。」
片桐さんの言葉に耳を疑う。