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メンタリズムな恋…
第13章 先生、冷たいよ



私を直接攻撃するつもりなら学生寮の方にも石井が現れるはず…。

だけど石井は河合教授を傷付けた後に姿を消す。

それは石井が私を追い詰めるだけの行動しかしてないと示してる。


「私があの倉庫に戻ると思ってるから?」


驚きに目を見開く。


「その通り…。そして亜子を探しに来る俺の目の前で亜子を殺す。それが石井の描く結末だ。」


先生の言葉にゾッとする。


「冗談じゃないわ。」


石井の思い通りにはならないと歯を食い縛る。

片桐さんだけが先生に嫌そうな顔をする。


「そこまでわかってるなら、何故警察に言わないのですか?そうやって勝手な行動をするから警察が大和さんを疑うんですよ。」

「警察に通報しても石井がそこに居る確証なんかないからな。今から行っても空振りになる可能性だってあるぞ。そもそも警察は証拠が無ければ動けないと言ったのは片桐だろ?」


あー言えばこー言う…。

先生の嫌味に頭が痛くなって来る。


「事件が起きて無ければ動けないと僕は言ったのです。もう事件は起きてるじゃないですか!?」


真っ直ぐな片桐さんは既に先生のメンタリズムにハマってると思う。

明らかに先生は単純なだけの片桐さんを自分の手の平で弄んでる。

それほどまでに片桐さんは先生の気に入らない事をしたのだと思う。

そして先生の嫌味が続く。


「大体、片桐が余計な事を亜子に言うから状況がコロコロ変わって河合教授が犠牲になったんだよ。」

「僕のせいだと言うのですか?」

「18年前の事を思い出した亜子の精神が崩壊する可能性とか全く考えてなかったろ?」

「それは…。」

「幸い、亜子は神経が図太い、やたらと強靭な女だったから良かったものの、か弱い女だったら石井が手を出さずに自殺とかしてるぞ。」


神経が図太い…。

強靭な女…。

私の中でブチッと何かが事切れる音がする。


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