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メンタリズムな恋…
第2章 先生、事件です



なのに私の携帯には着信表示が出ていない。

しかもバッグの中でまだ着信音が鳴っている。


「私のじゃなくて先生の携帯が鳴ってるんだわ。」


そう説明しても先生は自分の携帯を見ようとすらしないままだ。


「ちょっと、先生、ご自分の携帯ですよ?着信を見なくていいのですか?」

「……。」

「河合教授かもしれないし、とにかく何度も掛けて来てるんだからきっと急ぎの話です。」


先生を説得する間中、先生の携帯は着信と切れるを何度も繰り返す。


「先生っ!電話に出ないつもりなら東京に引き返しますよっ!」


脅すという技を取得した。

私の言葉に反応したボロ雑巾男はのそりと私のバッグから自分の携帯を取り出す。


「誰からです?」

「警視庁…。」


明らかに不機嫌な声がする。


「出て下さい!」


でなければ東京に引き返すと脅しを再び続けてみる。

ピッ…。

諦めた先生が携帯の着信を受けて即座にスピーカーへと切り替える。


『もしもしっ!もしもしっ!』


相手は若い男の人…。

その声はやたらと必死感が滲み出てる。


『もしもーし!?大和さんの携帯ですよね?聞こえてますかー?もしもーし?』

「……。」


ボロ雑巾は答えない。


「もしもしっ!」

『もしもし?あれ!?』

「だから、ご要件をお願いします。」


どういう理由か私が運転をしながら対応する。

何故なら先生は窓の外を向いたまま携帯だけを運転する私の方に向けている。


『あの…、すみません。大和さんの携帯じゃ…。』

「間違いなく大和先生の携帯です。」

『貴女は?』

「先生が日本滞在中の助手を務める事になりました三好と申します。先生にご要件はお伝えしますから内容の方をお願い致します。」


わざと携帯からそっぽを向くボロ雑巾の為に私は必死にバイトをする。



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