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メンタリズムな恋…
第14章 先生、気障過ぎる
なのに先生はお構い無しに石井と話す。
「何が兄だよ。てめえ、ただの凡人じゃん。『お前もか…。』初めて会った時にそう言ったよな?」
「それが?」
「やっと意味がわかったよ。お前、すげー勘違いしてるってな。」
「ほう?」
石井も先生と会話する。
メンタリズムとメンタリズムがぶつかり合う。
「母親に人を支配しろって言われたんだろ?だからお前は自分が神だと勘違いしてるだけだ。人を操る力を持つ者…、即ちそれは神だとな。」
石井は自分を神だと考えてる。
だから母親に神の子として育てられた先生に『お前もか…。』と共通意識を持った。
「その通り…、俺は人を支配する。親父も俺が支配してやってた。それはお前も知ってるだろ?お前はそんな親父を連れて逃げるだけのガキだった。」
「そうだな…。あの時はそう思ってた。」
「今もそうだ。」
「違うな…。お前はただのジャイアンだ。平凡で自分では何も出来ず銃で撃たれりゃ痛い痛いと喚くだけのただの凡人だ。」
「何を…!?」
先生はのんびりと言い切る。
石井の声だけが一段と甲高くなり焦りを含んでると感じる。
石井はメンタリストかもしれない。
それでもメンタリストはただの人…。
悪魔でも神でもない。
やっと吹っ切れる気がして来る。
私が石井の支配から逃れるには私自身にその支配を振り払う強さが必要だと気付く。
先生が私を支配から解放してくれる訳じゃない。
先生は私をメンタリストとして導くだけ…。
私もメンタリスト…。
何も学んで来なかった石井よりも河合教授や先生から学んで来た私の方がメンタリズムは強い。
私は先生の助手。
先生が選んだ女だ。
いつまでジャイアンに触られて悦んでる?
冗談じゃないわ。
パンッと肉が弾ける音がする。
私は片腕で自分の胸を隠しながら石井の手を平手打ちで跳ね除ける。