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メンタリズムな恋…
第14章 先生、気障過ぎる
石井が驚愕に顔を歪ませる。
「お前っ!」
石井がナイフを構えて叫ぶ。
「汚い手で触らないでよ。アンタみたいな男だけは絶対にお断りよ。」
自分でも驚くほどの冷たい言葉が口から出る。
「何っ!?」
「刺すなら刺しなよ。どうせ出来ないでしょ?ジャイアン君…。」
「このクソアマ…。」
「何も出来ないくせに…、凡人のアンタが本気で人を支配とか出来るとか思ってるの?」
私の挑発に石井が怒りで顔を真っ赤にする。
みっともない…。
冷静にそう思う。
「俺の女…、すげー怖いだろ?」
笑う先生がゆっくりと私の方へと歩いて来る。
「ほら、片桐っ!いつまでもボーッとしてないで、さっさと石井を取り押さえろ。お前はその為だけに来たんだろうが…。」
先生が私の肩に手を置く。
「終わりだよ。石井…、そもそもお前と俺とは違うんだよ。」
先生が私の身体を隠すように抱き締めて石井に語りかける。
「何が違うっ!」
馬鹿な石井が叫ぶ。
片桐さんが銃をホルスターに戻し手錠を構え直す姿が見える。
「俺には親父も兄も存在しない。何故なら俺は本物の神の子だからな。」
先生の涼し気な流し目が完全に腰の引けた石井を見下ろしていた。
気障っ…。
私は呆れて先生を見る。
「石井 宏伸…、河合教授に対する殺人未遂の容疑で逮捕する。」
片桐さんの冷静な声がする。
先生のメンタリズムが勝り、石井のメンタリズムは崩れ片桐さんもいつもの自分を取り戻す。
石井の手首にはしっかりと手錠がかかる。
「なんだよ?」
呆れて先生を見る私に先生が眉を顰める。
「気障過ぎて…、気持ち悪い。」
「はあ?」
「誰が神の子よ。自分だって凡人のくせに…。」
メンタリストは万能でも神でも魔法使いでもない。
それを私に教えたのは先生だ。