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メンタリズムな恋…
第14章 先生、気障過ぎる
先生がクスクスと笑う。
「そうだよ。俺はお前を抱きたいだけのただの男だよ。」
先生が私のお尻を撫でながら肩にキスを落とす。
「ちょっと…。」
こんな場所で…!?
そう叫ぶ前に私の肩に片桐さんが自分の着てた上着を掛けてくれる。
「三好さん…、これを着て下さい。」
白馬の王子様の優しさに胸がきゅんと熱くなる。
「片桐…、余計な事を…。」
先生が口を尖らせる。
「余計な事じゃないでしょ!?大体、何なのよっ!先生ってば私が石井に襲われてるのを黙って見てただけじゃない。」
「いや…、あれは不可抗力って奴だ。」
「何が不可抗力よっ!」
「亜子が石井に弄られて悦んでる姿があまりにエロいからチンコが勃起して動けなくなっただけだ。」
「幸之助の馬鹿っ!」
そう叫ぶ口を先生が唇で塞ぐ。
「むぐっ!?」
私はただ目を見開く。
「大和さんっ!?」
片桐さんの素っ頓狂な声が響く。
ゆっくりと先生の唇が私から離れる。
「うるせえな…。とりあえず車に行くぞ。」
先生が私の肩を抱いて歩き出す。
片桐さんは項垂れて幽霊のようになった石井を連れて歩く。
誰も振り返る事はない。
あの倉庫はいずれ消える。
あの日、何もなかったかのように…。
誰もが未来に向けて真っ直ぐに前を向いて歩く。
事件は終わったのだと安堵を噛み締めるにはまだ少しばかしの時間が必要だった。
「ほら、亜子…。」
先生が車のトランクから取り出した何かを私に向かって差し出して来る。
それは灰色をしたヨレヨレのスウェットの上下…。
私にもボロ雑巾になれってか?
スウェットを眺める。
「洗濯はしてある。」
先生が子供みたいに口を尖らせる。