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メンタリズムな恋…
第14章 先生、気障過ぎる
片桐さんが石井を車の後部座席に押し込める。
「早く着ないと片桐が呼んだ警官がぞろぞろと現れるぞ。」
先生がそう言うから私は慌てて先生の車に飛び乗り先生のスウェットに着替える。
XLのスウェットはブカブカ…。
ズボンのウエストはユルユルで腰紐を縛り直さないとずり落ちる。
Tシャツにジーンズ姿という普通の姿の先生は車の周りで何かを片桐さんと話してる。
15分もすれば別荘の周りはパトカーだらけになる。
私だけがボロ雑巾という、みっともない姿だから車からは降りられない。
私が居る助手席の窓が叩かれる。
「片桐さん…。」
「今日はもう帰って下さい。明日は事情聴取があるから警視庁に来て貰います。必ず大和さんを連れて来て下さいね。」
「わかりました。」
パトカーが集まる前に先生と片桐さんが色々と打ち合わせ済み…。
ここへは石井が居る可能性があると先生の助言を受けた片桐さんが確認に来た。
そこで石井を発見した為に片桐さんが石井を逮捕したという流れ…。
余計な事は話さない。
先生は片桐さんに華を持たせればいいと笑う。
私と先生はメンタリスト…。
ここでは、ただの民間人。
逮捕権もなく、銃も手錠も持ってない。
私達は片桐さんの仕事を見てただけの民間人。
事件の供述もそう話すだけだ。
「帰るぞ。」
片桐さんと一言二言の何かを話し終えた先生が車に乗り込んで来る。
やっと終わった。
安堵する私に一気に睡魔が襲って来る。
「寝るなよ…。」
先生が呟く。
「だって、夕べもあまり寝てないもん。」
「あのな…、お前は助手で本来ならお前が運転するんじゃないのか?」
「もう…、今日のバイトは…、おわ…。」
終わり…。
言い切る前に瞼を閉じる。
あっという間に私は眠りに落ちていた。