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メンタリズムな恋…
第16章 先生、もう探せない



「何よ…、これ…?」


声が震え出す。


「止めてよ…。」


メモを握り潰す。

なんで?

私に黙って勝手気儘にふらふらと出歩くなってあんなに言ったのに…。

先生が行方不明になると私は先生の助手というバイトをクビになるって言ったじゃない。

涙だけが溢れて来る。


「幸之助のっ…。」


馬鹿…。

声にならない声で叫ぶ。

だって幸之助はわかってた。

私がこうやって泣く事をわかってて消えた。

今も幸之助の心と私の心は繋がってる。

私の心の痛みが幸之助には伝わるから幸之助は黙って出て行った。


『See you.(またな。)』


たった、その一言だけを残した幸之助はもうアメリカに帰った。

ペントハウスでいつまでも泣き続ける私を迎えに来たのは片桐さん。


「知ってたの?」


片桐さんを責める。


「大和さんからは事情聴取には行かないと言われました。その上で三好さんを河合教授の所に送って欲しいとも…。」


嘘の付けない片桐さんが項垂れて答える。

始めから決まってた事…。

あの事件の事情聴取は片桐さんに華を持たせると先生は言ってた。

片桐さんは河合教授の助言に従い1人であの別荘に向かったという筋書き…。

それなら私も先生も事情聴取を受ける必要がない。

泣き崩れる私に片桐さんが寄り添う。

泣きたいだけ泣いた。

涙が止まれば先生の助手をクビになった私を片桐さんがペントハウスから連れ出す。

向かった先は河合教授の病室…。


「おかえり…。」


ベッドに座る教授が私に向かって両腕を広げる。

ふらふらと教授の腕の中に収まり再び涙を流す。


「ごめんなさい…、あの人を見失いました。」


バイトに失敗したと私は教授に謝る。


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