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メンタリズムな恋…
第16章 先生、もう探せない
泣き続ける私の背中を教授が優しく撫でる。
「入院中…、何かと不便だから三好君が居ると助かるよ。」
穏やかな顔で教授が私を慰める。
こうして私のバイトは終わり、教授の助手へと戻るだけだった。
2週間後に教授が退院する。
大学は完全な夏休み…。
教授から助手のバイト代が振り込まれた私は街に沙莉奈と出掛ける。
「大丈夫?絶対に?」
何度も沙莉奈に確認する。
「大丈夫…。完璧だから行って来なさい。」
沙莉奈は自信満々の顔でフンッと鼻息を荒くする。
そう言われても自信がない。
「沙莉奈…。」
「大丈夫だって…、どうせ脱いだら同じだよ?」
「脱いだりとかしないから!?」
「だってデートでしょ?」
「だから…、違うってば…。」
相変わらずお洒落だとか恋愛だとかが苦手だと思う私が居る。
あれからまた、更に自分に自信を失くした。
私の心に大きな穴が空いたから…。
そんな私が今夜は片桐さんと前から約束をしてた食事に行く事になる。
片桐さんには教授の退院の送り迎えとか何かとお世話になりっ放しだった。
そのお礼も兼ねて食事の誘いに行くと返事した。
流石に王子様には不似合いな惨めなだけの女になるのは嫌だと思い沙莉奈に相談をして今夜のデートの為の服を買いに来てる。
白と黒のツートンカラーのタイトなワンピース…。
白のヒール…。
白のパーティーバッグ…。
金で出来たイヤリングにネックレスとブレスレットは沙莉奈が貸してくれる。
メイクも沙莉奈がする。
「このくらいの方が栄えるからね。」
真っ赤なルージュを沙莉奈が私の下唇に引く。
私じゃない女が鏡の中に現れる。