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メンタリズムな恋…
第16章 先生、もう探せない



更に自分に自信を失くす。


「本当に大丈夫?」

「大丈夫だってばっ!待ち合わせは何処?」

「大学前の並木通り…。」

「もうっ!時間がないじゃない。少しの遅刻なら可愛いけど大幅な遅刻はルーズな女に見られるよ。」


最後はぷりぷりと可愛い顔を膨らませて怒る沙莉奈が私を睨む。


「やっぱり沙莉奈もついて来て…。」


泣きそうになる。


「亜子…。」


沙莉奈が困った表情になる。

沙莉奈は事件の事も幸之助の事も何も知らない。

ただバイトから帰って来た途端に腑抜けになった私を叱ったり宥めたりしながら、この夏休みはずっと私に寄り添ってくれてる。

今の私は心配する沙莉奈の家に居候中の身だ。

沙莉奈に手を引かれて沙莉奈の車に乗る。

就職するからと沙莉奈が社長であるお父さんに買って貰った車…。

赤い小さな車…。

その車を見るたびに私の心にまた穴が開く。

但し、それは最新設備が装備されてる最新の車であり沙莉奈は私をその車に押し込める。

車は大学前の並木通りに向かう。

夏休みの大学前は閑散として人通りが少ない。

この季節に大学へと通う人は部活か就職活動に必死な人くらい。

そんな並木通りに停まる白い車がある。

車にもたれて立ってる白馬の王子様…。


「あの人?」


沙莉奈が聞いて来る。


「うん…。」


私が返事をすれば白い車の前に並べて沙莉奈が車を停める。


「ほら、降りて…。」


沙莉奈が言う。

ぐずぐずと私が迷えば沙莉奈は


「私も降りるから…。」


と言い私と一緒に車から降りてくれる。


「三好さん…。」


私を見た片桐さんが驚いた顔をする。

わかってる。

今の私は私じゃない女の姿をしてるもの。

私の変貌に戸惑う片桐さんの気持ちが伝わる。


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