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メンタリズムな恋…
第2章 先生、事件です



背中に冷たい物が流れた。

僅か3歳の女の子が24時間も行方不明…。

ハンドルを握る手が震え出す。


『もしもーし?三好さん、聞いてますか?』


無言になった私の心配をする声がする。

なのに私の喉はカラカラに乾き寒気がするのに嫌な脂汗が流れて声が出ない。


『もしもしっ!?』


片桐さんが急かして来る。

そっとハンドルを握る私の手に細く温かい指が微かに触れる程度で重ねられる。

その為、僅かではあるが先生の体温が私に伝わり少しづつ冷静を取り戻す。


「大丈夫です…、続けて下さい。」

『大丈夫ですか?』

「それで幼児行方不明の要件は?」

『ええ、今回は公開捜査に切り替わり本庁からも応援が出る事になったので、是非に大和さんにも捜査に加わって貰おうという事なんです。』

「そうですか…。」


その後は少女が行方不明になった現場の住所を片桐さんが伝えてくれる。


『行方不明になった状況ですが、家は農家で少女の父親は会社に務めてます。ですから当時の状況は父親の母親である祖母と妻である母親の2人が畑仕事をしてました。その畑の傍で遊んでた奈々ちゃんが家に帰る頃には畑から居なくなってたというのが母親からの話です。』


機械のように淡々と片桐さんが説明する。

付近には何も無い田舎町であり山中の集落地で起きた小さな事件。

それでも時間的には一刻の猶予もなく急ぎ解決すべきと警察の判断で大和先生に依頼が来た。


「すぐにそちらに向かいます。」


先生の携帯に向かってそう叫ぶ。


「えっ!?」


先生が嫌な声を上げる。


『警察関係者は田村家に集合してます。僕も居ますから着いたら連絡して下さい。』


片桐さんがそう言うと先生の携帯は通話が切れた。


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