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メンタリズムな恋…
第16章 先生、もう探せない
「あの…。」
戸惑う片桐さんが顔を赤く染める。
私の前にずいと沙莉奈が出る。
「はじめまして、片桐さんですよね?私は亜子の親友の沙莉奈です。うちは門限とかありませんが必ず亜子を送り届けて下さいね。」
今の私の保護者は自分なのだと沙莉奈が意地悪っぽい笑顔を片桐さんに向ける。
「あの…、はい、片桐といいます。今夜は必ず三好さんを送り届けますから…。」
沙莉奈のいきなりの先制攻撃に狼狽える片桐さんがアタフタする。
「いい人そうだから大丈夫だよ。」
小声で私にそう言うと沙莉奈は自分の車に向かう。
「沙莉奈…。」
不安になる私はやっぱり沙莉奈について来て欲しいと声を掛けるが沙莉奈は私に背を向けてヒラヒラと手を振り立ち去った。
沙莉奈が居ないというだけで私の不安が膨れ上がる。
「行きましょう…。」
白馬の王子様は爽やかな笑顔になると私の為に車の扉を開けてくれる。
今夜の私はこの人に拐われる?
くだらない事を考える。
息を吸い自分を落ち着かせて車に乗り込む。
片桐さんがホッとした表情を浮かべる。
「なんか…、緊張します。」
真っ直ぐで嘘のない片桐さんがはにかむ。
間違いなく素敵な人…。
ときめきを感じない訳じゃない。
単に心の穴が埋まらないだけ…。
今は寂しくて泣きたくなる心の穴を誰かで埋めたいとか考える。
日が暮れる街を片桐さんの車が走る。
片桐さんが向かったのは夜景が見れるレストラン。
「綺麗…。」
テーブルの横にある大きな窓からパノラマに広がる景色を素直に評価する。
赤い夕日に照らされながらピンクや紫の幻想的なカラーに染まる街…。
そこに降り注ぐ一筋の天使の梯子に魅了される。