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メンタリズムな恋…
第16章 先生、もう探せない
そこで私と幸之助の繋がりは絶たれた。
私に怖い事が起きなければ幸之助が日本に帰って来る事はない。
私は魔法の鳥を失い自分すら見失う。
「僕じゃ三好さんを理解する事は出来ませんか?」
片桐さんが悲しい目で私を見る。
今更、男を知らないからと純情振るつもりはない。
嘘のない片桐さん…。
片桐さんの気持ちだけが一方通行で伝わって来る。
「片桐さんの言う通りだよ。私は嘘吐きです。」
「三好さん…。」
「怖くて堪らないの…。石井はもう居ないのに怖くて堪らないの…。」
「三好さん…。」
「怖いのに…、独りで戦わなきゃいけない。」
私の痛みは片桐さんには伝わらない。
わかってて私は伝えたいと思いを込める。
「戦えない…、怖くて動けない。私は神の子じゃないもん。私は…。」
「もう、戦う必要はありません。」
片桐さんが険しい表情に変わる。
「片桐さん?」
「戦わなくていい…、前にも約束しました。僕が三好さんを守ります。」
私はお姫様だから?
白馬に乗った王子様が私を守る為にお城へ拐おうとしてる。
そして私はお城に閉じ込められる。
それでいいのかもしれない。
魔法の鳥は自由な鳥…。
誰のものにもならない鳥…。
私は誰かに監禁されてる方が気持ちが落ち着くお姫様なのだろう。
失った石井の支配を片桐さんに求めてしまう。
食欲のないまま食事が終わる。
沙莉奈との約束通りに片桐さんは私を沙莉奈の家まで送る。
帰りたくない…。
私がそう言えば片桐さんは沙莉奈との約束を破ってくれるのだろうか?
私を拐ってあの人を忘れるくらいまで私を抱いて愛してくれるのだろうか?
ぐずぐずと車から降りられずに自分に都合の良い事だけを考える。