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メンタリズムな恋…
第16章 先生、もう探せない
私は孤独だ。
沙莉奈の腕の中で眠るのに私の心は埋まらない。
気付けば夏が終わってた。
沙莉奈の家を出て学生寮へ帰る。
孤独だった私はますます孤独を味わう。
河合教授とは相変わらずの関係を続ける。
「卒業論文は?」
「下書きが済んだので見て頂けますか?」
「喜んで…。」
河合教授と居る時間だけが一番安らぐ時間になる。
メンタリストである教授だけが私の心の穴を理解してくれる。
教授の研究室に居る限り私は教授の身の回りの手伝いをする事で孤独から抜け出せる。
つまらないコピーの仕事でも私には有難い。
「片桐君とは?」
時々、教授にそう冷やかされる。
「別に…。」
微妙に緊張して答える。
片桐さんは相変わらずのいい人のまま…。
月に2度程度はデートする。
その2度という回数も片桐さんが事件を抱えてるとキャンセルになったりするから片桐さんはいつも私に狼狽えた顔ばかりを見せて来る。
『片桐はMだからな。』
あの人の言葉がなんとなくわかる。
キャンセルになった時に私が叱れば片桐さんは照れた笑いを浮かべて必死に謝ってくれる。
だけど私がしおらしくキャンセルを受け入れると寂しい表情で私を見る。
「少しは残念がって貰えると嬉しいのですが…。」
そんな風に片桐さんはストレートに自分の感情を私にぶつけて来る。
私は未だに片桐さんへ自分の気持ちが返せない。
だから教授の質問には緊張して苦笑いをするだけになる。
「もうすぐクリスマスだよ?」
教授が変な期待を持つ言い回しで私を見る。。
恋人の為にあるようなイベントを楽しめと言わんばかりのしたり顔を教授がする。