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メンタリズムな恋…
第16章 先生、もう探せない
「クリスマスは…。」
神の子が誕生した日です。
そう口から出そうになる言葉を飲み込む。
幸之助の誕生日…。
キリストの話は冗談だと思ってたけどプロフィールを確認すれば本当にクリスマスに生まれてる。
「彼は…、片桐さんは仕事ですから…。」
片桐さんは仕事だと答えて自分の言いたい事を誤魔化してしまう。
しかし、その段階で教授は私の飲み込んだ言葉を見抜き悲しい顔をする。
「キリストとは関係ないが、今年もうちに研究生が集まるから三好君も来なさい。」
私の背中を3回叩いて教授が言う。
私の言葉が詰まるたびに教授は私の背中を叩く。
「是非、伺います。」
息を吐き出して教授に答える。
教授は毎年のように研究生や教授が指導する学生の何人かを自宅に呼び鍋パーティーのようなクリスマスを送ってる。
ここ数年は私も必ず参加してる。
皆んなが持ち込むお肉や野菜を鍋で煮込むだけのパーティーだけど10人くらいは来るから、それなりに賑やかにはなる。
心理学が好きな学生ばかりが集まるパーティーでは自論を論争し物議を醸し出し、お互いの評価を得たり出来るチャンスの場でもある。
メンタリストとしてはかなりの勉強が出来る場…。
しかし、現実を突き付けられる場でもあるからと教授は毎年のように新しい学生を呼ぶ。
心理学の世界は社会の中では厳しい立場なのだと思い知らされる。
大学にもよるが1種なら修士課程の終了で臨床心理士の資格が貰える。
いわゆるカウンセラーになる人…。
このカウンセラーの就職口が難しい。
学校カウンセラーなどが増えてる時代とはいえ非常勤な立場も否めない。