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メンタリズムな恋…
第16章 先生、もう探せない
残る道は企業カウンセラー…。
大手企業ではセクハラやパワハラ対策などにカウンセラーを雇用するが、実際としてはセクハラやパワハラ問題を表沙汰にする事を好まない企業からすればカウンセラーを一応は設置するものの、それは窓際扱いと変わらない。
後は修士から更に3年を研究に費やし博士の資格を得る方法がある。
これもかなりイバラの道…。
3年で研究論文などの結果が出せなければオーバードクターになりかねない。
また博士を得たとしても企業は博士という立派な資格を持つ人間の雇用は好まず、医療関係でもベテランが1人居れば充分とするところが多い。
その上、講師として大学に残る道などを模索してもその枠がほとんど存在しない以上は通常の就職を試みるしか道がなく、通常の就職ならばわざわざ大学院で無駄な時間を費やす意味がないとまで言われてる。
心理学で大学院まで進む私を沙莉奈が心配するのはその為だ。
その現実を現役の大学院生達から学ぶ為の場でもある教授のクリスマスパーティー…。
夢のようなメンタリストを目指した私が現実を垣間見るパーティーだと笑うしかない。
この日本には私の居場所が無いかもしれない。
メンタリストとしての私を必要とする場所が無いという不安が私の心に更なる穴を開ける。
昼休みにはカフェで沙莉奈とランチをする。
「ねえ、沙莉奈…。」
「何?何?」
「クリスマスイブは暇?」
「亜子は片桐さんとデートじゃないの?」
沙莉奈が私の顔を覗き込む。
ブルータス…、お前もか?
私の周りの人は完全に片桐さんが私の彼氏だと思い込んでるらしい。
「片桐さんは仕事…、クリスマスは教授の家で心理学パーティーだからイブに行きたい所があるの。」
心の穴を少しでも埋めたくて私は沙莉奈を誘う。