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メンタリズムな恋…
第17章 先生、未来へ向かおうよ
メンタリズムを使っても幸之助の心の穴は埋まる事がなく私の心にも穴が空いたまま…。
その寂しさに消えてしまいたいとさえ考える。
「亜子…、大丈夫だよ。私も居る。片桐さんも河合教授も…。亜子は独りじゃない。孤独なんかじゃないよ。」
沙莉奈の言葉はわかってる。
皆んなが私を支えてくれる。
幸之助を諦めて片桐さんを選べば、きっと片桐さんは私の心の穴を埋めようとする。
私が割り切ればいいだけだよ。
割り切る為に神戸に来た。
来年のクリスマスは片桐さんと…。
諦めろと何度も自分に言い聞かせる。
「沙莉奈…、ごめんね。」
「亜子が謝る必要なんかないよ。」
「違うの…、こんな状況にされてるのに好きで堪らないの…、まだあの人が好きなの。私なんかじゃあの人に相応しくないってわかってる。それでも私はあの人が欲しくて仕方がないの。」
「亜子は充分に相応しいよ。寧ろ、大和さんに亜子は勿体ないくらいだよ。」
「諦める為に神戸に来たの…。」
「諦めなくてもいいよ。私が大和さんをとっちめてやるから…。」
興奮する私を沙莉奈が必死に宥める。
違うの…。
やはり沙莉奈には私の気持ちが伝わらない。
片桐さんにもきっと伝わらない。
河合教授はわかってくれるだろうけど私を叱る。
だから私は孤独だと感じてしまう。
最後はシャボン玉のように一瞬で弾けて消えてしまいたいとまで考える。
あの人が居なければ生きていけない。
私は幸之助のメンタリズムに支配されてる。
この支配から逃げ出す手段がわからずに1人で踠き涙を流す。
泣き止まない私を沙莉奈がベッドに寝かせる。
「私が傍に居るから…。」
そう呟く沙莉奈の声を聞きながら私は闇へと堕ち続けるだけだった。